将来の子供部屋を有効活用するには?設計ポイントと年代別レイアウト事例を紹介
2025.08.07
新築設計時に子供部屋を作った方が良いものか、迷っている方も多いのではないでしょうか。子供部屋を作ったところで、子供が独立してしまえば、使いにくい空き部屋になってしまうかもしれません。
とはいえ、子供のプライバシー確保のためには欠かせない部屋でもあります。
そんな悩みを抱える方へ向けて、この記事では、子供が独立した後でも有効に活用できる子供部屋を紹介しています。
子供の年齢に合わせたレイアウトの考え方も紹介していますので、ぜひ記事内容を参考にしてみてください。
子供部屋が将来「空き部屋」になる理由とは?

子供部屋が将来的に空き部屋になる理由は、子供の成長と独立です。
子供が成長して家を出るとやがて、子供部屋は使われなくなります。具体的には以下のライフステージの変化によるものです。
- 大学進学や就職による実家からの独立
- 結婚による転居
- 海外留学や長期出張
もっとも多いのは、子供の大学進学や就職です。大人になり自立を目指すタイミングで実家を出ます。
その他には、結婚をきっかけに家を出て新しい家庭を築くケースや海外留学や長期出張で長い間部屋を空けるケースもあります。
さまざまな理由によって、今まで利用していた子供部屋がある日を境に利用されなくなる、というわけです。
新築時に考えたい!将来まで使える子供部屋の設計ポイント

子供部屋を将来長く利用できるように設計するには、可変性と多目的性が大切です。子供の成長に合わせて部屋の用途やレイアウトを自由に変更できるように計画しておくと、汎用性の高い部屋ができます。
具体的な設計ポイントは次の通りです。
- 間取りの可変性を高めておく
- 長く使える家具選びと配置の工夫
- 多目的利用を想定した設計にする
H3.間取りの可変性を高めておく
空き部屋になることを想定して子供部屋の可変性を高めておくと、後々後悔せずに済みます。
可変性を高めるために大切なポイントを3つ、考えてみました。
- 将来的な間仕切りの検討
- 出入り口や窓、コンセント、照明の位置を考える
- リビングとの一体感を考える
将来的な間仕切りの検討
子供が小さな頃は広い一部屋として利用し、成長して個室が必要になったら壁や引き戸などで仕切れるように設計します。
将来壁を設置する可能性がある場所にあらかじめ下地を入れておくと、スムーズです。
引き戸は解放したら大部屋になり、閉めると個室になります。将来の用途変更にも柔軟に対応できるでしょう。
床にレールのない吊り戸タイプは、レールや段差がないため掃除が楽です。
出入り口や窓、コンセント、照明の位置を考える
将来部屋を2つに分割する計画を立てる場合は、それぞれの部屋に最低限の出入り口や窓、コンセント、照明を配置できるような配慮が必要です。
リビングとの一体感を考える
子供が小さな間は、リビングで過ごす時間が多いことから、リビングに隣接した部屋を子供部屋にしておくと親の目が届きやすく安心です。
将来間仕切りを撤廃して、リビングを拡張するという選択肢をとることもできます。
長く使える家具選びと配置の工夫
汎用性の高い部屋には、長く利用できる家具が必要です。大人でも使いやすい家具選びと配置について詳しく説明します。
- シンプルな色とデザイン
- 可変性がある収納家具を活用する
- 多機能家具を活用する
家具の配置変え考慮した構成を考えておく
シンプルな色とデザイン
見るからに子供向けな色やデザインよりも、シンプルで飽きのこないデザインや色味を選びましょう。将来子供が成長しても違和感なく利用できますし、大人が使う段階になっても馴染みやすいです。
子供らしい要素を取り入れたい場合は、カーテンやクッションカバー、剥がしやすいウォールステッカーなど簡単に交換できるもので対応すると便利です。
可変性がある収納家具を活用する
間取りと同じく、家具にも可変性があると何かと便利です。
棚板の高さが変更できるオープンラックや、引き出しを増やしたり、組み合わせを変更できるモジュール式の家具があれば、収納する物の増減にも柔軟に対応できます。 子供が小さなうちは、大雑把に収納できる大きなボックスを活用し、成長するにつれて細かく分類できるようにしておくと収納が捗ります。
多機能家具を活用する
ベッドの下に収納ケースがあるタイプのものや、デスクと収納が一体となったものなど、省スペースで複数の機能をもつ家具は、用途が変わっても長い間、便利に利用できます。
家具の配置変え考慮した構成を考えておく
ベッド、学習机、収納など主要な家具の配置変えが発生した場合でも対処できるように、壁の広さや窓の位置を考えておく必要があります。
勉強スペースと遊びのスペース、睡眠スペースなど、活動エリアを意識した配置にしておくと、子供も生活のメリハリがつけやすくなります。
多目的利用を想定した設計にする
将来、子供部屋を多目的利用を想定した部屋にする際のポイントを2つ紹介します。
- 将来趣味やゲストルームとして活用できる設計にする
- 収納力のあるクローゼットを設置しておく
将来趣味やゲストルームとして活用できる設計にする
子供が独立した後は、書斎や趣味の部屋、ゲストルームなど、他の用途に転用できるようにあらかじめ設計しておきます。 例えば、壁の一部をホワイトボードやマグネットボード仕様にする、可動式の家具を導入するなど、考えられることはいくつもあります。
収納力のあるクローゼットを設置しておく
十分な収納力のあるクローゼットがあると大人になってからも便利に利用できます。
ハンガーパイプの高さが調整できるクローゼットは特に便利です。
子供の成長段階に合わせた快適に使える空間づくりのコツ

子供部屋は、子供の成長に合わせて少しづつ変化させた方が快適性が高まります。やがては親が利用することを考えると、少しづつ大人仕様へ変更した方が良いでしょう。
この項では、子供の成長に合わせた子供部屋のレイアウトについて、詳しく説明しています。
- 0歳から就学前の子供部屋
- 小学校低学年頃の子供部屋
- 小学校高学年から中学生頃までの子供部屋
- 高校生から大学生・社会人になるころの子供部屋
0歳から就学前の子供部屋
この時期の子供部屋は独立した部屋というよりは、リビングの延長や寝室の一角を子供スペースとして確保するケースが多いです。
子供用のスペースが果たす役割は、遊び、お昼寝、オムツ換えや着替えなどが想定されます。
求められるものは、安全性と清潔性です。角のない家具や転倒防止の対策、手の届かない高さの棚などが求められます。
清潔性を保つために、掃除しやすい床材や洗えるカーテンやラグなどもあると良いです。
おもちゃや衣類をざっくりと入れられる収納ボックスがあると片付けも捗ります。
長く使うための工夫
リビングの隣の部屋を、将来の子供部屋にするプランを考えておくとスムーズです。小さな頃は遊びのスペースとして活用し、成長に合わせて仕切りを設けることで、個室を作ることができます。
将来を見越して、オープンシェルフや低い収納も確保しておきたいところです。充実した収納は、子供の片付けの練習に役立つでしょう。
フローリングは掃除がしやすく傷つきにくい素材を選べば長く使えます。必要に応じてジョイントマットなどをうまく活用すると、床を傷つけずにすみます。
小学校低学年頃の子供部屋
小学生低学年の頃になると、本格的に自分の所有物が増え始め、学習習慣が身につき始める頃です。遊びのスペースを中心として、簡単な学習スペースや、自分のものを収納するスペースがあると良いでしょう。
部屋に求められるものは、勉強に集中できる机と椅子の設置です。高さの調節が自在にできるものだと、長く利用できます。
その他、おもちゃや文具などを分類できる収納が完備されていると、片付けの習慣を促すこともできます。
子供の創造性を伸ばしたい場合は、壁面に絵を描けるホワイトボードの設計や工作ができる場所の設置も有効です。
長く使うための工夫
学習机は、長く利用することを考えてシンプルな造りのものが望ましいです。また、棚板の高さが変えられるオープンラックや、キャスター付きの収納は、用途や収納料に合わせて、柔軟に活用することができます。 有孔ボードやマグネットボードを部屋の一部に組み込んでおくと、掲示物を貼ったり、小物を飾ったりなど、成長に合わせて色々な使い方ができます。
小学校高学年から中学生頃までの子供部屋
小学生高学年から中学生頃になると友人との交流の他に、趣味も増えることから、プライバシーを重視するようになります。学習も本格的になるため、ある程度集中する環境が求められます。
プライバシーの確保のためには、部屋のドアはもちろんのこと、鍵の有無も検討する必要があります。鍵は家族の関係性に変化が生じる可能性があるため、慎重に判断したいところです。
その他には、勉強に集中できる十分な広さを備えた学習机と明るい照明も欠かせません。衣類や書籍、趣味の道具などを整理できる収納があるとより便利です。
長く使うための工夫
兄弟で一つの子供部屋を共有している場合、間仕切りを使って部屋を個室に変更することも考える必要があります。間仕切り壁を設置する方法の他に、大型家具を間仕切り代わりに使う方法もあります。
改めてデスクや椅子、ベッドを新調する場合は、大人になっても違和感なく使えるデザインと機能性のものを選びましょう。 服の量が増えることから、クローゼットやタンスの容量を再確保する必要もあります。
高校生から大学生・社会人になるころの子供部屋
大人に近づくにつれて自立心が高まります。大学生にもなるともう大人の仲間入りです。多くの場合、実家を出る準備段階の時期にもなります。
この時期の子供部屋に求められるものは学習や仕事の空間、または趣味やリラックスするための空間です。
1人暮らしを想定した家具の配置などのシミュレーションも考えられます。
長く使うための工夫
家具や内装は、今後の利用を想定して、シンプルかつ洗練されたものへ移行します。多目的スペースとして友人が来た時に座れる小さなソファや簡単な作業台になるカウンターなどがあればなお良いです。 趣味嗜好で、リラックスできる間接照明を設置するのも良いでしょう。
まとめ

将来のことを考えると、子供部屋のレイアウトは変更できるように可変性を持たせておいた方が良いでしょう。広い一部屋を分割する、いずれは元の一部屋に戻すなど、柔軟性を持たせておくことが大切です。
可変性のある間仕切りがあれば、子供のプライバシーを確保しつつも将来空き部屋にならずに済みます。
部屋の分割を考える場合は、コンセントの位置や窓、ドアの位置なども設計段階で考慮しておかなければいけません。子供部屋をどのようなレイアウトにするか、あらかじめイメージを持っておきましょう。
和建匠では、数多くの建築実績から得たノウハウを元に、将来に渡って無理なく利用できる子供部屋の提案を行っています。子供部屋を作りたいものの、どのようにレイアウトしたら良いのかわからない、という方はぜひお気軽にご相談ください。
要望に応じて最適なレイアウトを提案させていただきます。