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理想を叶えてくれる吹き抜け窓の種類とは?吹き抜け窓のメリットデメリットも紹介

2025.08.07

「憧れの吹き抜け天井には、これ以上にない最高の吹き抜け窓を設置したい!」と、心を踊らせている方も多いのではないでしょうか。

吹き抜けは部屋のデザイン性のみならず、機能性にも良い影響を与える設計構造です。設置する窓次第では、より吹き抜け天井の良さを増幅してくれるものもあります。

しかし、深く考えずに憧れだけで設置してしまうと後悔の元にもなりかねません。

本記事では、吹き抜け窓のメリットやデメリットを通じて、後悔のない吹き抜け窓の設置について説明しています。吹き抜け天井を取り入れたいと考えている方は、ぜひ記事内容をご確認ください。

吹き抜け窓とは

吹き抜け窓とは、建物内部に設置された吹き抜けの空間に設置される窓のことを言います。

主に採光と通風のために設置されるケースが多いですが、開放感を活かしたアクセントとして用いられることも多いです。

高い位置に設置されることが多く、開放的な空間を演出してくれます。

吹き抜け窓のメリット

吹き抜け窓を設置する具体的なメリットを4点紹介します。

  • 合理的な採光ができる
  • 開放感が得られる
  • 空間のアクセントになる
  • 空気の好循環をもたらしてくれる

合理的な採光ができる

吹き抜け窓は高い位置から自然光を効率よく取り込むことができるため、部屋全体を明るくできる大きなメリットがあります。

特に光が届きにくい家の中央部分や北側の部屋でも、日中の日光のおかげで電気をつけずとも明るさを維持することができます。

太陽光は人工灯にはない、開放感と心地よい空間をもたらしてくれるでしょう。

開放感が得られる

吹き抜け窓は上下階をつなぐ大きな開口部となることから、視覚的な繋がりを生み出し、壮大な開放感を体感できます。高い天井と相まって、縦方向の広がりが強調されることから、実際よりも部屋が広く感じられるというわけです。

吹き抜け窓を用いた抜け感の演出は、室内の閉塞感を解消し、家にいながらにして広い空の下にいるかのような、伸び伸びした気持ちを与えてくれます。

空間のアクセントになる

吹き抜け窓は、採光や通風といった機能的なメリットの他に、デザインアクセントとしての役割も兼ね備えています。大きな開口部は外の景色を切り取る額縁のようでもあり、季節の移ろいを室内へ取り込む役割を果たしてくれます。

光の入り方や影の落ち方次第では、空間に奥行きと表情を与え、住まいの個性を際立たせてくれるでしょう。

空気の好循環をもたらしてくれる

吹き抜け窓は温かい空気が上昇する煙突効果を活性化させ、家全体の空気循環に良い影響を与えてくれます。暖かい空気は自然と上部へ流れることで吹き抜け窓から排出され、同時に低い位置にある窓からは、新鮮な空気が供給されます。

自然な空気の循環によって、室内の澱んだ空気の滞留が発生しにくくなり、換気の効率が確保される仕組みです。特に夏場はこもりがちな熱気を排出し、涼しく快適な室内環境を維持するのに役立ちます。

吹き抜け窓のデメリット

吹き抜け窓の想定されるデメリットと対処法のワンポイントアドバイスをセットで3点紹介します。

  • 冷暖房効率が落ちる可能性がある
  • 掃除がしにくい
  • 隣の家から見下ろされる可能性がある

冷暖房効率が落ちる可能性がある

吹き抜け窓がある空間は広いため、冷暖房で快適な室温を維持するために時間とエネルギーが必要です。そのため吹き抜けのない住宅に比べて、光熱費が高くなる可能性があります。

暖かい空気は上に、冷たい空気は下に貯まりやすいことから、特に冬場の暖房効率低下はある程度の許容が必要です。窓そのものが熱の出入り口となるため、断熱性が低いと外の気温の影響を受けやすく、冷暖房効率がさらに低下します。

ワンポイントアドバイス

吹き抜け窓を設置する場合は、外の気温の影響を最小限に抑えるために、高断熱サッシと日射・遮熱ガラスがおすすめです。外壁の断熱性をあげておくことも重要な対策として欠かせません。

掃除がしにくい

吹き抜け窓は高いところに設置されているため、通常の掃除道具では手が届かないことが多いです。窓をキレイにするためには脚立や高所用の専用清掃用品が必要になります。

また、結露や砂埃が付着しやすい点も懸念点の一つです。こまめな掃除が必要ですが、専門家へ依頼すると費用がかかり、自分で掃除するとなると転落などの危険も伴います。

ワンポイントアドバイス

吹き抜け窓を設置する場合は、後々掃除をしやすくするためにキャットウォークを設置しておくと便利です。開閉式の窓なら、吹き抜け窓の外にバルコニーを設置しておけば、外からの掃除もできます。

隣の家から見下ろされる可能性がある

周囲の環境次第では、隣の家からの視線が気になる場合があります。隣の建物が高い位置にある場合は、吹き抜け窓から室内が丸見えになってしまうかもしれません。

常に見られているような感覚は、大きな精神的負担になる可能性もあります。

ワンポイントアドバイス

吹き抜け窓の位置を決める際は、方角だけでなく周辺の建物の高さにも気をつけましょう。道路を挟むなど隣の家との距離が確保されていれば、窓やベランダから覗き込まれる可能性は低くなります。

目隠し対策などを合わせるとより効果的です。

吹き抜けに設置する窓の種類

それぞれの目的に対応した吹き抜け窓の種類を5つ紹介します。

  • FIX窓
  • 開閉できる窓
  • 天窓
  • 高窓
  • 縦長窓

FIX窓

一般的な吹き抜け窓です。開閉ができない固定された窓で、主に採光や眺望を確保する目的で設置されます。開閉機能がないため、見た目がスッキリしており、機密性と断熱性に優れている点が特徴です。掃除のしにくさは気になるものの、電動で開閉するロールスクリーンなどを設置することで、日差しや隣の家からの目線を調整できます。

開閉できる窓

開閉可能な窓は大きく分けると3種類に分類できます。3種類の開閉できる窓を一覧表にまとめました。

種類 詳細
滑り出し窓 縦または横を軸として外側に開く窓縦滑り出しは通風に効果的横滑りだしは雨の日でも吹き込みにくい
内倒し窓 窓の上側が手前に倒れて開くタイプ雨が吹き込みにくい
電動開閉窓 高い位置にある窓でもリモコンで簡単に開閉できる

天窓

天井に設置する窓です。真上から光を取り込むことができるため、効率の良い採光ができます。住宅が密集している地域でもプライバシーを確保しつつ明るさを得られる点も特徴的です。 しかし、夏場の直射日光による気温上昇には対策が必要です。その他には雨音のうるささや掃除のしにくさなどの注意点もあります。

高窓

壁の高い位置もしくは天井近くに設置される窓です。間接的に光を取り込むことで柔らかな明るさを演出します。

外部からの視線が届きにくく、プライバシーを確保しやすいメリットもあります。

縦長窓

細長い形状の窓で、デザイン性を演出したい場合に用いられることが多いです。光を絞って取り込むことでおしゃれな印象を与え、室内のアクセントにもなります。

吹き抜け窓の選び方、選ぶ時のポイント

吹き抜け窓を選ぶ時の注意ポイントを4つピックアップして、詳細を紹介します。

  • 設置の目的と必要な機能を明確にする
  • 周辺環境とプライバシーの確保
  • 熱対策と断熱性能
  • デザイン性と統一感

設置の目的と必要な機能を明確にする

吹き抜け窓を検討する時は、設置の目的に対応する必要な機能を明確にしておきましょう。

目的と対応する設置窓の一例を一覧表にまとめてみました。

目的 おすすめの設置窓 理由
日当たりを重視したい FIX窓 開閉できないため気密性と断熱性に優れる見た目もスッキリして費用も割安
通風や換気も必要 滑り出し窓内倒し窓電動開閉窓 煙突効果による自然換気を期待するなら開閉窓は不可欠電動開閉窓なら高い位置でも操作が簡単
眺望も確保したい 透明ガラスで大きな窓 透明度が高ければ、ガラス越しの眺望も楽しめる

周辺環境とプライバシーの確保

吹き抜け窓を設置する際は、周辺環境をよく確認してプライバシーを確保しなければいけません。憧れの吹き抜け窓を設置しても、隣の家から丸見えでは、悔やんでも悔やみきれないでしょう。

プライバシー確保の具体的な対策例は次の3点です。

  • 隣の家と窓が向き合わないようにずらす、もしくは高い位置に設置する
  • すりガラスや型ガラス、かすみガラスなどをうまく使う
  • ブラインドやロールスクリーン、カーテンなどを使う

その他、眺望の確保にも気をつけたいところです。窓を開けたら隣の壁しか見えない、といった事態にならないように設計段階で注意しましょう。

熱対策と断熱性能

吹き抜け窓は外気の影響を受けやすいため、夏は暑く冬は寒くなりがちです。暑さと寒さの対策は必須といっても良いでしょう。

気温対策の基本は素材選びです。窓の素材には、Low-E複層ガラス、トリプルガラスなど、断熱性能の高いガラスを選びましょう。遮熱効果のあるコーティングも有効です。

窓枠の素材には、熱伝導率の低い樹脂や木製サッシが効果的です。いずれの素材も断熱性を高め、結露も抑制してくれます。

必要に応じて電動ブラインドやロールスクリーン、アウターシェードなどを設置して日差しをコントロールできるようにしておくと、より柔軟な暑さ対策ができるようになります。特に西日対策は重要です。

デザイン性と統一感

吹き抜け窓は外観にも大きな影響を与えます。他の窓とのバランスや調和も重視したいところです。窓枠の色や素材、窓の位置を工夫することによって、よりスタイリッシュで統一感のある空間を演出できます。

また、一枚の窓だけでなく複数の窓を並べて配置することで、光の入り方やデザインに変化をつけることもできます。例えば、北向きの窓は直射日光が入りにくく柔らかな光を取り込むことができるため、リビング全体を均一に明るくしたい場合におすすめです。

まとめ

吹き抜け窓は主に採光と通風を目的として設置されますが、素材とデザイン次第では空間のアクセントにもなりうる、重要な建具の一つです。

冷暖房の効率が悪くなりがちな吹き抜け構造には、空気循環を助ける吹き抜け窓が欠かせません。一方で、周りの環境によっては部屋が丸見えになってしまうこともあります。設置方法次第では掃除がしにくくなることもあるため、吹き抜け窓を設置する際は、検討段階でよく考えておく必要があります。

吹き抜け窓の設置を検討している方は、ぜひ和建匠へお問い合わせください。これまでのノウハウを元に、憧れの吹き抜け窓を提案させていただきます。