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モデルハウス購入の注意点とは?本当にお得な買い物なのか?

2024.04.09

モデルハウスの中には、展示終了後には購入ができるものもあるといわれています。
しかも新築よりも安く、設備や家具付きとのことです。
もし本当ならお得な買い物です。
ところでモデルハウス購入にはお得なイメージとは裏腹に意外な注意点もあります。
では、どんな注意点があるのでしょうか。
今回は、モデルハウス購入の注意点についてわかりやすくご紹介します。

【モデルハウスとは?】

モデルハウスとは「展示用の住宅」のことです。
目的はお客様がハウスメーカー経由で家を建てる場合に、完成品をイメージしてもらうためです。
基本的にはモデルハウス自体は売り物ではありません。

〇住宅展示場の中に複数のモデルハウスが展示されている理由

通常、モデルハウスは一棟建ちはまれです。
ほとんどの場合、1つの住宅展示場の中に複数のモデルハウスが展示されています。
理由は異なるハウスメーカーが複数展示していると、自社のみでは集められない多くのお客様を集めることができるからです。
また通常は内覧ができるように、実際に人が住むことを想定して家具や家電などが配置されています。

〇モデルハウスの種類の違い

一般的にモデルハウスは2種類あります。
同じモデルハウスではありますが、デザイン・大きさ・使われている材料・価格などがまったく違います。
違う理由はターゲットとするお客様のタイプが異なるからです。
こちらでは2種類のモデルハウスのそれぞれの違いについてご紹介します。

〇住宅展示場型

1つ目が住宅展示場型のモデルハウスです。
大きな特徴はハウスメーカーが最も力を入れているタイプの住宅のモデルハウスであることです。
そのためデザインが洗練されており、サイズが大きく、品質が高い材料が使われ、お値段が高めに設定されています。
また住宅展示場の中に一社一棟建てで、最新の住宅設備や技術が搭載されています。
住宅展示場型のモデルハウスのおすすめのお客様は、注文住宅で自分のイメージする家を建てたい方です。

〇分譲地型

2つ目が分譲地型のモデルハウスです。
大きな特徴は分譲会社(不動産会社)ができるだけ安く、大量に売りたいと思って建てているタイプの住宅のモデルハウスであることです。
そのためデザインはほぼ周りと同じで、サイズは大きくなく、価格が安い材料が使われ、お値段はリーズナブルに設定されています。
また分譲地の一画に、他の分譲住宅と一緒に建てられており、若干型落ちの住宅設備や技術が搭載されています。
分譲地型のモデルハウスのおすすめのお客様は、土地付き分譲住宅をできるだけ安く買いたいと思っている方です。

【モデルハウスは購入できるのか?】

モデルハウスに訪れた方の中には「モデルハウスは購入できるのか?」と疑問を持った方もいることでしょう。
もし新築を建てるより、展示後に不要になったモデルハウスを買えるのであれば、ぜひ買いたいと思っているかもしれません。
結論からいうとモデルハウスは購入できる場合もあれば、できない場合もあります。
それぞれの場合について詳しくご説明します。

〇購入できる場合

購入できる場合は、大手ハウスメーカーのモデルハウスの時です。
理由は2つあります。
1つは大手ハウスメーカーは、そもそもモデルハウス販売も集客ツールと考えているからです。
もう1つは大手ハウスメーカーの住宅の中には、設置・分解がしやすい造りになっているものがあるからです。
具体的にはそれぞれの部屋が箱型になっており、まるで積み木を積み重ねるように住宅を建てることができます。
そのため建て方・分解のいずれもわずか1日で可能です。(ただし内装は別)
また購入できる場合は抽選が多く、できるだけ多くの人に機会があるようにしています。

〇購入できない場合

購入できない場合は、木造在来工法の住宅の時です。
理由は2つあります。
1つは木造在来工法の住宅の場合、柱と梁が一体化しており、内装・外装が釘打ちされているので建て方・解体に時間がかかるからです。
しかも分解すると、内装・外装が使い物にならなくなります。
もう1つは木造在来工法の住宅は、解体して移築すると経費と手間がかかり、結果的に新築を建てた方が安く済むからです。
ただしどれだけ経費と手間がかかっても、買主様が問題なければ移築することは可能です。

【もしモデルハウスが販売されるといくらで買える?】

現在、モデルハウスの購入をご検討中の方であれば、一体いくらで買えるのかが気になるところでしょう。
基本的にモデルハウスは新築よりも安く買うことができます。
こちらでは住宅展示場型・分譲地型のそれぞれのモデルハウスがおよそいくらで買えるのかについてご紹介します。

〇住宅展示場型の場合

住宅展示場型の場合は、新築住宅の20〜30%割引が相場です。
古い場合だとさらに値引きされます。
通常、住宅展示場型の方が割引率が高い傾向にあります。
販売される時期は、新築から3〜5年程度です。
住宅展示場型のモデルハウスは、良いものを安く買いたい方におすすめです。
ちなみに大手ハウスメーカーのモデルハウスで最も安く買えるものは、鉄骨2階建て住宅で、消費税込みで580万円で買うことができます。
基本建物のみで、移築代、屋外給排水工事代などは別料金です。

〇分譲地型の場合

分譲地型の場合は新築住宅の10〜20%割引が相場です。
もともとが安いので割引率は高くありません。
販売される時期は新築から1年程度で、分譲地での分譲住宅の販売期間終了後に販売されます。
分譲地型のモデルハウスは、周りの分譲住宅よりも安く買いたい方におすすめです。

【モデルハウス購入がおすすめな理由】

モデルハウスは、場合によっては購入することができます。
では、モデルハウスを購入すると、どんな点がおすすめなのでしょうか?
こちらではモデルハウス購入がおすすめな理由についてご紹介します。

○ハイエンドモデルだから見映えがよい

住宅展示場型のモデルハウスは、ハウスメーカーのハイエンドモデルか、フラッグシップモデルである場合がほとんどです。 そのため実際に建てると周りの住宅よりも圧倒的に見映えがよく見えます。
そのため周囲から羨ましがられます。
またもともとよい材料が使われているので、新築から3〜5年程度の物件でも外観の劣化がほとんどありません。

○高品質のインテリアが付いてくる

住宅展示場型のモデルハウスには、ハイエンドモデル・フラッグシップモデルに合わせた高級インテリア、高機能家電・住宅設備が設置されているケースがほとんどです。
絶対ではありませんが、通常はモデルハウスで使われていたインテリアがそのまま付いてきます。
高品質のインテリアに囲まれて暮らす生活ができるので、買主はラグジュアリーな気分で過ごすことができます。
もしこれらを一からそろえると結構な価格になるので、住宅展示場型のモデルハウスの購入はお得な買い物です。

○現物を見て購入できる

モデルハウスの購入は、現物を見て購入できます。
一般的な注文住宅は、完成するまでわかりません。
ところがモデルハウスは出来上がりがわかってるので、現物を見て納得して購入できます。

○すぐに住むことができる

分譲地型のモデルハウスは、分譲会が終われば引き渡しされるので、すぐに住むことができます。
できるだけ早く住みたい方には分譲地型のモデルハウスはおすすめです。
また新築から1年程度しか経ってないのでほぼ新築です。
分譲地型のモデルハウスは、すぐ住める・新しい・価格が安いなどが3拍子そろったお得な買い物といえます。

【モデルハウス購入の注意点とは?】

モデルハウスの購入はお得な買い物です。
ただし当然注意点があります。
こちらではモデルハウス購入の注意点についてご紹介します。

○住宅瑕疵担保責任保険に入れない可能性がある

モデルハウスは新築ではないので住宅瑕疵担保責任保険に入れないことがあります。
住宅瑕疵担保責任保険とは、新築物件で見つかった欠陥を10年間であれば保証してくれる保険のことです。
基準は、住宅を建ててから1年以内か、1年以上かで決まります。
1年以上経過していれば、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)によって新築住宅に当たらないので住宅瑕疵担保責任保険には入れません。
ただし入れない場合には、中古物件が対象になる既存住宅売買瑕疵保険に入れる可能性があります。
その場合保証期間がガクッと下がり1〜5年程度です。
購入前には販売業者に詳しく聞いた方がよいでしょう。

○家電製品の保証期間が切れている場合がある

住宅展示場型のモデルハウスの運営は通常3〜5年です。
そのため家電製品の保証期間が切れている場合があります。
一般的な家電のメーカー保証期間は通常1年です。
ただし量販店で購入すると、量販店保証が3〜5年付く場合があります。
もしメーカー保証のみの場合は、家電の保証期間が切れているかもしれません。
この点は販売業者に詳しく聞いた方がよいでしょう。

○キズや破損があっても修理は別料金かもしれない

モデルハウスの購入は、契約ではモデルハウスはそのままの状態で渡される可能性があります。
つまり最も安い状態で販売されるということです。
そのためキズや破損があっても修理は買主の自己負担になる可能性があります。

○オーバースペックの設備が将来負担になるかもしれない

住宅展示場型のモデルハウスはハイエンドモデルの場合が多く、高機能の設備が搭載されています。
買主によっては、高機能の設備が不要だとオーバースペックになるかもしれません。
オーバースペックだと、住人としては何ともありがた迷惑な存在です。
またメーカー保証は切れている可能性があるので、壊れた時に修理代が高くつくことでしょう。
さらに1つの設備が壊れ始めると、続けて壊れていくことがあります。
そうなるとオーバースペックの設備が将来負担になるかもしれません。

○トータルでは思ったほど安くならないかもしれない

モデルハウスの購入は、住宅単体であれば驚くほど安く購入することが可能です。
ただし別の場所に移築すると結構かかります。
住宅の購入費用以外に、解体費・住宅の運送費・移築場所での施工費・壊れた箇所の修理費・屋外給排水工事代などです。
また土地を持っていないとさらに土地代もかかります。
そうなるとモデルハウスの購入は、トータルでは思ったほど安くならないかもしれません。

【まとめ】

今回は、モデルハウス購入の注意点についてご紹介しました。
モデルハウスの購入は、一見お得な買い物感があります。
ただしトータルでみると、結果的に新築並みに結構かかります。
そのため安いからといって、安易に購入するのは控えた方がよいでしょう。