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自然素材の家でおしゃれで快適な住まいを実現!費用相場も紹介

2025.03.21

これからマイホームを建築を検討している方の中には、自然素材でこだわりの家を建ててみたい、と考えている方も多いのではないでしょうか。

自然素材はできる限り自然由来の素材のみで家を建築するため、自然と体に優しい住居ができあがります。自然との共生をテーマに生きたい人にとっても良い選択肢となるでしょう。

本記事では自然素材の家に使われる素材や、自然素材の家のメリットとデメリットなどを詳しく説明しています。自然素材の家が気になる方は、ぜひ記事内容をご確認ください。

自然素材の家とは?普通の家との違い

自然素材の家は、可能な限り化学物質を廃除しつつ、木や石、土などといった天然素材を中心に使った家のことを言います。

自然素材の家は、化学物質の放出が抑えられることから、シックハウス症候群の発症を抑えられるメリットもあります。

自然素材の家では壁材に調湿効果をもつ珪藻土や漆喰が利用されることが多いです。珪藻土や漆喰などの天然由来の素材は、室内の湿度を調整してくれる働きをもち、カビやダニの発生を抑えてくれる効果もあります。

自然素材の家は建築費用は高くなるものの、健康面や環境面への配慮ができることから、最近では注目されつつあります。自然素材の家は、家族にとって安心安全の住環境を用意してくれるでしょう。

普通の家と自然素材の家との違い

普通の家と自然素材の家との違いを簡潔に一覧表にまとめてみました。

  自然素材の家 一般的な家
素材 主な材料は木材・石・土・漆喰・珪藻土など。化学物質をほぼ含まない素材を使う 性能とコストのバランスから、合板・集成材・ビニールクロス・化学塗料などの工業製品を使う
健康面への影響 化学物質の放出が抑えられるため、シックハウス症候群のリスクを抑えられる 高性能な利便性と引き換えに、化学物質の放出によるシックハウス症候群発症の可能性がある
快適性 調湿効果によって年間通して快適性が高い。断熱性や遮音の効果も期待できる 高性能な素材によって調湿効果を発揮する。素材によっては調湿効果が低いケースもある
デザイン 木材や土壁など、自然由来の素材を活かしたデザイン。温かみがあって飽きが来ないとの声が多い。 自然素材の家に比べてデザインの自由度は高い。色々なスタイルに柔軟に対応できる。
価格 自然由来の素材は原価が高いため、建築材料費は高くなる。 工業製品として大量生産できる材料を使うため、コストを低く抑えることもできる
メンテナンス 基本的には定期的なメンテナンスが必要 メンテナンスフリーな素材が使われることが多い

デザイン性やコスト、合理的な機能性では、ハイテク要素を取り込んだ一般的な家に軍配が上がりますが、自然へのこだわりや生活と自然との調和を重視して考えると、自然素材の家を選んだ方が満足できそうです。

自然素材の家によく使用される素材の種類や特徴

自然素材の家を構成する主な4つの素材を紹介します。

  • 珪藻土
  • 漆喰
  • 無垢材
  • 天然リノリウム

珪藻土

珪藻土とは、植物性プランクトンを多量に含む珪藻の殻が海底などに蓄積していき、長い年月をかけて化石化した素材のことを言います。

多孔質構造と呼ばれる小さな穴をたくさん持っていることから、高い吸湿性と放湿性を兼ね備えているのが特徴です。日常生活の中では、その特性を活かして壁材やバスマット、コースターなど、水回り用品において使われることが多いです。

珪藻土の強みは湿度調整機能だけではありません。消臭効果や断熱効果も期待できます。一方で、衝撃には弱く、割れやすい性質もあることから、取り扱いには注意が必要です。

漆喰

漆喰は、古来より建物の壁や天井に使用されてきた、日本独自の塗り壁材です。漆喰は消石灰を主な成分として、糊やスサを投入して作られます。

以前は家を建てる時には欠かせない素材として利用されてきましたが、住宅の洋風化やハイテク化に伴って利用されなくなりました。しかし、昨今では自然素材への関心の高まりから、再度注目を集めるようになっています。

漆喰の持つ主な特徴は次の5つです。

  • 調湿性
  • 消臭効果
  • 抗菌性
  • 防火性
  • 耐久性

様々な効果をもつ素材ということもあって、漆喰は自然素材の家を建てる時には欠かせません。職人の技術一つでもようや質感を演出できるため、意匠性の高さも人気の理由です。

無垢材

無垢材は、1本の丸太から切り出した素材を接着剤で貼り合わせずに、そのまま使う木材のことを言います。室内の温度や湿度を調整する調湿作用の他に、優れた断熱性を兼ね備えるハイブリッド素材です。木が持つ質感や木目、香りなどを楽しむことができる特徴もあります。

家の建築に利用される主な無垢材は、杉やヒノキなどの針葉樹の他に、ナラやブナなどの広葉樹があります。針葉樹は加工がしやすく、広葉樹は硬度と耐久性の高さが特徴です。

無垢材の主なメリットは、化学物質の放出量が少ないことと、環境負荷の低さです。一方で、集成材に比べて原価が高いことや、経年変化による割れが出る可能性などはデメリットとして挙げられます。

無垢材はその自然な風合いや機能性が見込まれて、床材や壁材、天井材や家具など、住宅のあらゆるところに活用されています。

天然リノリウム

天然リノリウムは、亜麻仁油や石灰岩、木粉、松脂、コルクの粉などの天然素材を主な原材料とした、環境に優しい床材です。天然素材を混ぜ合わせて、ジュート麻の布に塗布し、乾燥させて作成されます。

天然リノリウムは19世紀の後半にイギリスで発明された素材です。優れた耐久性と抗菌性から、公共施設や住宅などあらゆるところで活用されてきました。

昨今では、自然な風合いや豊富なカラーバリエーションが再び注目されるようになっています。

天然リノリウムの主な特徴は次の5つです。

  • 環境負荷が少ない
  • 耐久性が高い
  • 抗菌性
  • 調湿性
  • カラーバリエーションが豊富

天然リノリウムは床材として活用されることが多く、耐久性だけでなく燃えにくい特性も備えているため、自然素材の家を建てる時に、特に重宝されています。

自然素材の家のメリット

自然素材の家がもつメリットを3つのポイントにて説明します。

  • 耐火性と耐久性の高さ
  • 機能性の高さ
  • 調湿効果と断熱性による快適さ

耐火性と耐久性の高さ

漆喰や珪藻土などをふんだんに壁材に使っている自然素材の家は、耐火性が高いです。仮に隣の家の火事に巻き込まれそうになっても、簡単には延焼しません。

自然素材の家に使われることが多い無垢材は、接着剤を使用してないため、万が一、家の中で出火したとしても、有害なガスを出しにくい性質があります。木材と自然素材の家は、燃え始めたらあっという間、というイメージを抱きがちですが、実は耐火性も兼ね備えた素材です。

耐久性の高さも見逃せないポイントです。床に使用される合板フローリングは20年を目処にリフォームの検討が必要ですが、無垢材なら30年以上の使用に耐えうるケースもよくあります。無垢材を使った家は初期費用こそ割高ですが、長い目で見ると逆に高コスパと見ることもできます。

機能性の高さ

自然素材の家は、高い調湿効果と消臭効果を持ち合わせているため、加湿器や除湿機をフルに使用する必要はありません。サポート程度の稼働で十分です。

珪藻土の細かい穴は、色々な匂いを吸収する働きを持つため、ペットを飼っていてもそれほど匂いの心配をする必要がありません。抗菌機能も発揮してくれるため、小さな子供がいる家庭でも安心できます。

香りから得られるリラックス効果も見逃せないポイントです。無垢材は木材から木の香りが放たれることから、家の中にいながらにして森林浴を楽しめるメリットもあります。

調湿効果と断熱性による快適さ

自然素材は、夏は湿度を吸収し、乾燥しがちな冬は湿気を放ってくれる調湿効果を持っています。適度な断熱性と調湿効果によって年中快適な住環境を維持できるため、光熱費を抑えることにも貢献してくれます。

特に夏はからっとした湿度を維持してくれるため、日本らしい高温多湿な環境に悩まされることは少なくなるかもしれません。

自然素材の家のデメリット

自然素材の家を建てる時に注意すべきポイントを3つ紹介します。

  • 普通の家に比べるとやや割高
  • 経年劣化によるひび割れや傷ができる
  • 定期的なメンテナンスが必要

普通の家に比べるとやや割高

無垢材などの自然素材は性質上、大量生産ができないため、基本的に材料が割高です。自然素材中心の家づくりを考えると、一般的な住宅よりも2割から3割程度は高くなると認識しておきましょう。

納期に時間がかかるケースが多いため、家が完成するまでの期間も普通の家より長くなりがちです。

経年劣化によるひび割れや傷ができる

漆喰や珪藻土は素材の性質上、経年劣化によってひび割れができる可能性が高いです。必ずひび割れするわけではありませんが、自然素材ならではの変化が起きることは認識しておいた方が良いでしょう。

無垢材は丈夫な素材ですが、合板よりも表面の耐久性が低いため、傷つきやすい特徴があります。修復も難しいため、傷を無垢材の魅力として受け入れる気構えがなければ、傷ができた時に落胆してしまうかもしれません。

定期的なメンテナンスが必要

自然素材の家はメンテナンスフリーではありません、一般的な家に比べてこまめな手入れが必要です。季節によって素材の形が変形することを理解した上で、季節ごとの対応を行う必要があります。

自然素材の家をうまく管理するには、直射日光を避けつつ、こまめな清掃がポイントとなります。定期的な換気と素材の保護処理も忘れないようにしましょう。

自然素材の価格相場は?

実際に自然素材を使用した時の費用の相場を調べてみました。

無垢材フローリング 20,000円~50,000円程度
漆喰・珪藻土 4,000円~8,000円

※一畳あたりの価格

素材の原価は施工会社によってかなりの差があるため、以上の相場が当てはまらないこともありますが、おおよその相場として参考にしてみてください。

なお、1軒の家を建てる時の参考として坪単価がよく利用されますが、坪単価はあくまでも参考価格です。こだわりの詰まった自然素材の家を建てる場合は、素材の費用の分だけ割高になります。

坪単価と工事費は地域や施工会社によってかなり変動がありますが、国土交通省が公開した2023年度の「建築着工統計調査」による「居住専用住宅」の平均データを紹介します。

1軒あたりの全国平均

・建設面積 123平方メートル(約37坪)

・工事費 2899万円

・坪単価 78万円

(1坪 = 約3.3平方メートル)

どうしても費用を抑えた自然素材の家が欲しい、という方はセミオーダー式の企画住宅を検討する方法もあります。企画住宅ならどうしても譲れないピンポイントな箇所絞って自然素材を投入することも可能です。

自然素材の家をおすすめできる人、向いていない人

自然素材の家はどのような人におすすめできるのでしょうか。おすすめできる人とそうでない人をそれぞれ詳しく説明します。

おすすめできる人

自然素材の家をおすすめできる人は、自然が好きで自然と調和した生活を送りたい人です。長い間、自然とうまく調和した生活を送りたい方にとって、自然素材の家はこの上ないベストパートナーとなってくれるでしょう。

健康的な生活を重視したい人にも、自然素材の家は優しく寄り添ってくれます。実際に自然素材の家で生活している人の中には、暖かさを感じてよく眠れるようになった、胃腸の調子がよくアレルギー症状が改善した、などの声も上がっています。

なんとなく体調が悪い状態が続いている人は、マイホーム建築の際に自然素材の家を選択肢に入れても良いかもしれません。

向いていない人

低コストな家を建てたい人やメンテナンスフリーの家が欲しい人は、自然素材の家は向いていません。

自然素材の家は、一般的な家よりも材料の原価が割高です。できる限り低コストで合理的な家を建てたい人は、ハウスメーカーが推奨する企画住宅でマイホームを建てた方が良いかもしれません。自然素材の家は、メンテナンスにも一手間かかるため、家の手入れに時間を使いたくない人にも向いていません。

また、機能性や自由なデザインを優先したい場合も、自然素材の家を選ぶのはやめておいた方が良いでしょう。

まとめ

建材や壁材に漆喰や珪藻土、無垢材などが使われている自然素材の家は、ナチュラルな調湿機能を備えており、自然との共生や健康的な生活を重視する人にとって、かけがえのないパートナーであり続けてくれるでしょう。

理想の生活を追い求める人にとって、自然素材の家は外すことのできない選択肢です。

自然素材の家は、良いことばかりではありません。デメリットとして考えられるのは建築費用の高さと、こまめなメンテナンスを必要とすることです。理想と現実の妥協点をよく考えて、より良いマイホームを手に入れましょう。

私たち和建匠は、これまで数多くの自然素材の家づくりに携わってきました。科学的根拠はまだ十分に確立されていませんが、「よく眠れるようになった」「胃腸の調子がいい」「冬でも暖かく過ごせる」「アレルギー症状が改善した」など、以前よりも健康に暮らせていると、喜びの声を多数いただいております。

これらの声は、私たちが自然素材にこだわり、お客様の健康と快適な暮らしを第一に考えてきた結果だと自負しております。これからも、私たちは自然素材の家づくりを通して、お客様の理想の暮らしを実現するために、更なる技術の向上とサービスの充実に努めてまいります。

自然素材の家にご興味をお持ちの方は、ぜひ一度、私たち和建匠にご相談ください。