column大工さんの豆知識

プランニングの重要さ #第7回ブログ

2021.10.20

注文建築で建てる家、どういう暮らしが理想でしょうか。

広々としたオープンスペース、テーブルにも使える対面式のキッチン、バルコニーでくつろぎのひと時、理想を間取りに描いてみます。そこから全体の調和を考えていきます。失敗のない注文住宅のために、間取りのポイントを説明します。


家づくりの流れ

① 計画:希望する場所や家のイメージを具体的にリストアップします。
     建築会社と相談し、大まかな予算も伝えます。

② 具体化:土地を探します。家を建てたい土地の、現地調査を実施します。
      土地が決定したら、家の設計、プランニングにすすみます。

③ 契約:見積もり、設計を元に契約を結びます。必要ならローンも申請します。

④ 建築:建築会社が家を建てます。

⑤ 引っ越し、入居

⑥ アフターケア、メンテナンス:その後の暮らしも支えます。

ここでは②の後半、“プランニング”の説明をします。


プランニングとは 間取りを決める

建築でいうプランニングとは家の間取り(プラン)を作成することです。

暮らしやすい家、理想の家を建築会社のバックアップで具体化していきます。

間取りづくりの流れ

具体的には、

① 間取りの案を作る

② 建築会社と話し合う

①②を繰り返し、住みたい家の間取りを決めます。

やり取りは、発注者の納得のいくまで繰り返します。 

プランニングの建てかた

①まずは間取りを描いてみます。
間取りの引き初めに正解はありません。気が向いたところから引いてみます。
一発決定!ではなく、これを元に意見を聞こう、と気軽に描いてみてください。
描きだし方には次のような手もあります。
〇 これは外せない!という部屋から、その近くに欲しい部屋を描き足す
〇 遠くに置きたいものを遠ざける
〇 玄関から入ってすぐに欲しいものを描いてみる
〇 一緒に暮らす人の希望も書きとめる
〇 家族それぞれが自分の部屋周りに案を出し、組み合わせる
〇 ネットやチラシに載っている間取りを参考にする
〇 ショールームを見に行く
〇 建築会社に仮の間取り案をもらう
〇 道や隣の家も描いてみる。外から見えないけれど、実は中はこんな家!と
等々。
また、覚え書きも作ります。
〇 住む人の気持ち
〇 外せないこだわりから希望まで。優先順位もつけてみます。
〇 実現方法はわからないけれど、こういうのは? という質問事項
イメージになる図や写真も添えてみます。

②動線を引いてみる
起きてから何をするか、
玄関から入ってどこへ行くか
駐車場から荷物を抱えての出入りは?
人の動きに動線を引いてみます。
朝の気ぜわしい時もぶつからない、気兼ねなくお茶を入れたり、トイレに行けたりといった、生活に合った間取りを描いてみます。
描いてみて、大混雑!となるともう一度考えます。

ちなみにお金の話をしておきます。
家の形ですが、四角いほうが、コの字型やL字型よりも低コストで仕上がります。
壁の面積が少なめで、材料費が抑えられるからです。
外観が単調に見えそうなら、壁の色に変化をつけてみたり、屋根にひと工夫凝らしてみたりことも可能です。外観は間取りが決まると自然に決まってきます。

③建築会社と話し合う
第一案をもって建築会社に建てたい家を伝えます。
イメージの写真や図がある方が相手にもわかってもらえます。
絶対外せないポイントから、ささやかな希望も話してみます。
問題点も挙げてください。
そして建築会社の意見を聞いてみます。
この時相手の反応をしっかり見ることが大事です。
〇 担当者と連絡はとりやすかったか
〇 相手はこちらの意見を聞いているか
〇 対応は親身か
〇 相談しやすいか
〇 要望を伝えやすいか
〇 要望がきちんと伝わっているか
〇 地域の情報に詳しいか
話し合いはメモを取っておきます。

それから建築会社の意見と説明を聞きましょう。
疑問点はまず書きとめます。
そして相手が話し終わったら質問をしてみましょう。
〇できない理由は何か
〇どういうものなら許されるのか
分からないところは何でも聞いてみます。

ここで話し合いがちぐはぐで、理想の注文住宅がかなえられそうにないと思ったら、他の建築会社も視野に入れます。

ちなみに建築会社は耐震性や建築法、消防法や地域の事情からまず判断します。
また、採光や通気性、構造や安全性、近所との兼ね合いなど、機能的な面から調整をしていきます。
そして実際にかかる建築費用も提示します。

最初から完璧な間取りは稀です。
これを元に家の間取りを建築会社と一緒に引き直していきます。
そこからまた間取りを考えなおし、建築会社の意見も聞いて、とやりとりが続きます。
相談しやすく、理想に近い家を建ててくれそうな建築会社と契約を交わしましょう。

間取りで押さえるポイント:間取りがある程度決まったら

おおむね決まった時点で、間取りに家具や電気製品を記入してみます。
家具や大きな電化製品で、今あるものを使うならサイズも書きこみます。
新しく買うならカタログからサイズを写しておきます。
また使いたい電気製品、電気器具の位置も書いてみます。
洗濯機、テレビ、冷蔵庫、食洗器、台所用品(ミキサー、炊飯器、オーブンレンジ、湯沸しケトル…)、充電器などです。使うであろう電気機器を挙げます。
IT機器を使うスペースも書きこみます。
ここから次の位置と数を考えていきます。
〇 LAN端子(モジューラージャック) 
〇 TV端子
〇 電気コンセント
〇 照明
〇 スイッチ
家具やスイッチの位置を見ながら次の事柄をひとつひとつ確認をします。
〇 室内の動線に無駄がないか
〇 家具が障害物にはならないか、スペースは充分あるか
〇 収納はどこに必要か
〇 収容はどのくらいの大きさにしたいか
〇 コンセントの必要数と位置
〇 スイッチの位置
実際に手や足を動かして、距離感を確かめるように決めていきます。
外の自動点滅照明も必要ならば書き足します。
こういった間取りを元に、ふたたび建築会社と相談をします。

間取りが決定したら、内装や外装、建築素材や仕上げの話に進みます。

納得いくプラン作成をするために大切なこと

住み心地のいい間取りを作るために、多方面から考える必要があります。
家族や、周りの意見も聞いてみましょう。
〇 家の外の音や家の中の生活音で安眠が妨害されないか
〇 日当たりがよすぎて家の温度が上がりすぎないか
〇 料理の匂いがキッチンから家の中に充満し過ぎないか
〇 風呂、トイレはプライベートが守れるか
〇 来客のあった時、家族は自由に動けるか
〇 道や隣からの視線はどうか
〇 隣の換気扇やクーラーの室外機はどこにあるか

また、こだわりの裏側にあるマイナス点もしっかり見極めましょう。そして、
〇 希望を100%叶えるよりも、優先度の高いこだわりを確実に生かせるような家にする
〇 住む人のニーズに応える、ライフスタイルに合った家にする
また、
〇 相談しやすく、ライフスタイルに合う家を建ててくれそうな建築会社を見つける
〇 プランニングに最後まで手を抜かない
が大切です。

まとめ

建築会社の言うがまま建てるのならば注文住宅とは言えません。

暮らしやすい家を建てるために、相談しやすく信頼のおける建築会社を選ぶことが大切です。

後悔のない間取りづくりのために、アイデアや要望、疑問をどんどん建築会社に伝えてください。

スタイルに合う注文住宅を和建匠と練り上げていきましょう。