注文住宅の平屋を建てるときの費用相場を解説します
2024.01.10
皆さんは注文住宅で平屋を建てるにあたって、どのくらいの費用がかかるのか気になる人も多いのではないでしょうか?
平屋にはさまざまなメリットがあるとはいえ、階数建てではないので広い土地を確保しなければなりません。広い土地を確保しなければならない上に間取りも工夫しないと、生活に支障が出る可能性もあります。
平屋を建てる前に、どのくらいの費用相場となっているのか確認することが大切です。
それでは、注文住宅の平屋を建てるときの費用相場についてご説明しましょう。
Contents
【平屋とは?】
平屋とはいわゆる1階建ての住宅のことで、ある程度土地が広くないと建てられないのがポイントです。
元々古くから日本で建てられていた建物ですが、現在では狭い土地を活かした住宅が多く、マンションやアパートが主流となっています。とはいえ、徐々に平屋の魅力やメリットなどが再認識されてきているので、平屋を検討する意味は十分にあるでしょう。
今や注文住宅で平屋を建てるケースが増えているため、これを機に平屋を建てるのも良いかもしれません。
【平屋のメリット・特徴】
平屋のメリットや特徴は、以下の通りです。
・ 階段がないから生活しやすい
・ バリアフリー化する必要性がない
・ 家族間のコミュニケーションが活発化する
・ 生活導線がコンパクトになる
・間取りや外観の自由性が高い
それでは、平屋のメリットや特徴についてご説明しましょう。
〇階段がないから生活しやすい
平屋の最大の特徴とも言えるのが、平屋には階段がないことです。
平屋はワンフロアのみで構成される住宅なので、階数がない分、階段を設置する必要性がありません。家事をする時もワンフロアだけで済むので手軽にできるようになりますし、階段が元で事故を起こす心配もないのが大きなメリットです。
階段があると足を踏み外して転んだり、滑ってケガをしたりとさまざまな危険性があります。そういった危険性が完全に失くせるため、小さな子どもや高齢者がいる家庭は平屋を建てる一考の余地があるでしょう。
〇バリアフリー化する必要性がない
平屋はワンフロアで構成される住宅なので、階段や段差などを無理に作る必要性がありません。
平屋はワンフロアのみなのでバリアフリー化に対応しやすいメリットがありますが、将来的にバリアフリー化する必要性が分かっているなら最初からバリアフリーの平屋にすることもできます。
最初からバリアフリーに対応した平屋を建てることによって、後からバリアフリー化するための費用がかからないのが大きなポイントです。
階数がある戸建てやアパート、マンションなどでバリアフリーに対応する場合、かなりの金額がかかることになるので、将来的に高額な費用をかけたくないという人にも平屋がおすすめです。
〇家族間のコミュニケーションが活発化する
平屋は家族間のコミュニケーションが活発化する最適な住宅だと言えます。
平屋はワンフロアで生活するスタイルなので、必然的に部屋と部屋の距離間が近くなります。部屋同士が行き来しやすくなるため、どんなときでも家族を頼りやすくなるでしょう。
また、高齢者等と一緒に暮らす場合、何かあったときにすぐに駆け付けられるのも大きなポイントです。不測の事態にも対応しやすいため、平屋にするだけで家族同士が助け合える空間になります。
家族間のコミュニケーションを重要視する人などにおすすめです。
〇生活導線がコンパクトになる
平屋はワンフロアで構成されるため、間細かく間取りを決める必要性がありません。
すべての間取りが一つにまとまることから、生活導線や家具家電の配置などで悩むことがなくなるのが大きなポイントです。
ワンフロアで生活できるように生活導線を決めるため、スムーズに生活できますし、忙しいときや家事をするときにやりやすいでしょう。
〇間取りや外観の自由性が高い
平屋はワンフロアしかないため、間取りや外観の自由性が高いのがメリットです。
コの字型やロの字型、ロフトや高い天井、屋根の形状など、さまざまな選択肢があります。ワンフロアならではの広い空間を使ったさまざまな選択肢がある以上、業者と綿密な話を重ねる必要性があるでしょう。
また、近年ではデザインにこだわった設計も人気が高く、ライフスタイルに合わせた暮らしやすいデザインにできるのがポイントです。
【平屋の注意点】
平屋の注意点は、以下の通りです。
・ 広い土地が必要
・ 日当たりを工夫する必要性がある
・ プライベートが確保しにくい
それでは、平屋の注意点についてご説明しましょう。
〇広い土地が必要
平屋の最大の注意点として挙げられるのが、広い土地が必要になることです。
平屋はワンフロアの構造になっているので、広い間取りを確保しようとすると必然的に広い敷地が必要になります。しかし、日本は基本的に確保できる土地が狭いため、広い土地を確保しようとすると時間がかかります。
アパートやマンション等の階数建てが多いのは、狭い敷地でも多くの人が暮らせるようにする工夫がなされているからです。平屋を建てる計画を立てるなら、いかに広い土地が確保できるかどうかが重要です。
〇日当たりを工夫する必要性がある
平屋を建てる際に注意したいのは、ワンフロアにすべてを詰め込む関係上、日当たりを工夫しないと日が当たらない場所が多くなる可能性があることです。
隣に高い建物が建ってしまうと日当たりがさらに悪くなる可能性があるので、日当たりが確保できるように工夫する必要性があるでしょう。
〇プライベートが確保しにくい
平屋は部屋と部屋が近く、家族間のコミュニケーションが取りやすい反面、音や声が漏れやすいのでプライベートが確保しにくいので注意が必要です。
プライベートが確保できなくて家族と言い争いになり、関係が悪くなることも十分に考えられるため、事前にお互いのプライベートに配慮する必要性があるでしょう。
【注文住宅の平屋を建てるときの費用相場はどのくらい?】
注文住宅の平屋を建てるときの費用相場は、新築の木造平屋であれば坪単価40万円~60万円となっています。たとえば30坪の平屋を建てる場合だと、1,200万円~1,800万円の費用相場となりますが、土地代は別途でかかるので注意しましょう。
平屋を建てるときの費用相場を決めるポイントは、基本的に間取りや設備、延べ床面積、建設を依頼する住宅会社などさまざまです。
基本的に1,000万円~2,000万円程度の費用相場であれば、2LDK~3LDKの広さの平屋が建てられるとされています。もちろん土地の広さによって変わるところも大きいので、ゆとりのある間取りにするのか、費用を抑えながら平屋の建設計画を立てていくのか、依頼する住宅会社と相談しながら決めていく必要性があります。
○平屋の費用相場は2階建ての建物を建てるより高くなりやすい
平屋は基本的に2階建ての建物を建てるよりも費用が高額になりやすいので注意しましょう。
平屋は2階建てのように複雑な工事を行わないはずだから建築費用も安くなるだろうと思っている人もいるかもしれませんが、そんなことは全くありません。
というのも、平屋は2階建てに比べて横に広い設計になることから、基礎部分と屋根が大きくなるのが問題です。特に難しいのは耐震性を確保することでしょう。
高い耐震性を確保するためにはどこに柱を設置するのか考えなければなりませんし、横に広い設計をするにあたって耐震性を確保できるように基礎部分の段階から工夫する必要性もあります。ただ、一般的に2階建てよりも平屋の方が耐震性に優れています。
平屋は高さがない分だけ耐震性を確保しやすい利点があります。もちろん、全ての平屋に当てはまるわけではないので注意しましょう。
○平屋を建てるときの費用相場を左右する要素
平屋を建てるときの費用相場を左右する要素は、以下の通りです。
・ 建物の形
・ 屋根の形
・ 廊下の数
・ 設備のグレード
単純に考えると、建物、屋根の形がシンプルで、廊下の数が可能な限り少なく、設備のグレードを最小限に抑えるほど平屋を建てるときの費用相場を安く抑えることができます。
突き詰めればしっかりと費用を抑えることができますが、費用を抑えることだけを考えていては快適な生活を送れる平屋を建てることはできないでしょう。
したがって、平屋を建てる計画を立てる際に重要なのは、十分な話し合いの中で何をどこまで妥協できるのか、ここだけはこだわりたい部分にはこだわるというのを決めることです。
しっかりと満足するまで話し合った上で、平屋を建てていきましょう。
【平屋を建てるならどれくらいの土地が必要なのか】
これから平屋を建てるにあたって事前にチェックしておきたいのが、平屋を建てるための広い土地を確保することです。自分が思い描く理想的な広さの平屋を建てるためには、十分な広さの土地を確保する必要性があります。
しかし、一般的に平屋を建てるといっても、日当たりや十分な広さの間取りなどを重要視するとなると、どのくらいの広さの土地が必要になるのか気になるのではないでしょうか。理想的な広さの平屋を建てるためにも、どのくらいの広さの土地が必要になるのか知ることが大切です。
それでは、平屋を建てるならどのくらいの土地の広さが必要になるのかご説明しましょう。
○平屋に必要な土地の広さ
平屋を建てるにあたって十分な広さの土地を確保する必要性がありますが、一番勘違いされやすいのが、たとえば60坪の平屋を建てるなら60坪の土地を確保すればいいと思われていることです。結論から言えば、60坪の土地で60坪の平屋を建てることは不可能です。
何故なら建物を建てる際に遵守される建築基準法における建ぺい率により、土地の広さに対して建てられる建物の大きさが決められています。建ぺい率とは敷地面積に対する建物の面積の割合のことで、『あらかじめ土地に定められた建ぺい率によって建てられる平屋の広さが決まる』のが大きなポイントです。
たとえば建ぺい率が60%で80坪の土地の場合、48坪までの平屋を建てることができます。
また、建ぺい率とは別に容積率というのがありますが、こちらは『総床面積に対する土地の割合』で計算されます。たとえば土地の広さが100平方メートルだった場合、1階と2階の床面積が50平方メートルであれば100%の容積率となります。
もっと簡単に言うなら、2階建ての総面積の2倍の土地の広さを確保しなければならないということです。平屋にしかないメリットもありますが、平屋を建てる時は建ぺい率と容積率に基づいて土地の広さを確保しなければなりません。
【平屋に適している土地の条件】
平屋に適している土地を探そうと思った時に問題になりやすいのが、建ぺい率と容積率を考慮した土地探しです。平屋を建てるエリアによって建ぺい率と容積率が変わるため、低層住宅エリアだと建ぺい率が平均30%~50%、容積率が80%~100%、中高層住宅エリアだと建ぺい率が平均50%~60%、容積率が150%~200%となっています。
つまり、低層住宅エリアになるほど建ぺい率と容積率が低くなるのです。何故なら、同じ大きさの建物が密集していると日当たりが確保できないため、十分な日当たりの良さを確保するために広い土地を確保しなければならない、もしくは土地の広さに応じて平屋の総面積が制限されるということになります。
全国に建てられている平屋は都心になるほど普及しておらず、土地に余裕がある地域ほど普及している傾向にあります。ある程度広い土地を確保できないと十分な広さの平屋が建てられなくなるため、場合によっては平屋を建てるよりも2階建てを建てた方がお得だと判断されるでしょう。
だからこそ、平屋を建てる際に必要な土地は総床面積の倍の面積が必要になってくるのです。
【狭い土地に平屋を建てる場合の注意点】
土地があっても狭くて十分な広さの平屋を建てることができないのではないかと思われるかもしれませんが、実際はそんなことはありません。土地がある住宅エリアにもよりますが、場合によっては30坪程度の広さで4LDKの平屋を建てることは十分に可能です。
ただし、狭い土地に平屋を建てる場合、様々な注意点があります。
それでは、どんな注意点があるのかご説明しましょう。
○十分な日当たりと風通しが確保できない可能性がある
まず、居心地の良い快適な空間にするためには、当然ながら平屋を建てる際に日当たりの良さを求めために南向きになるように設計したいものですよね。
しかし、土地が狭いと通風と採光の問題が発生します。広い土地であれば南向きに面していなくても隣接する家との距離をある程度離すことができるので、風通しの良さや日当たりの良さをある程度カバーすることができます。
ですが、土地が狭いとその分隣の家との距離も短くなるため、十分な風通しや日当たりが確保できない可能性があります。
○隣の家の高さが問題になる
平屋を建ぺい率ギリギリになるように建てた場合、今度は隣の家が高い場合にさらなる問題が発生します。狭い土地ながらも十分な広さを確保できていても、隣の家が高いと日当たりが大きく阻害されてしまうでしょう。
日当たりが阻害されると家の中まで十分な日が当たらなくなりますし、洗濯物を干しても場所に困る上に乾きにくくなるでしょう。そういった場合は、どうしてもという場合じゃなければその土地に平屋を建てるのは止めた方が良いかもしれません。
また、隣に空いている土地がある場合も注意しましょう。土地が空いているということで日当たりや風通しの良さが確保できると思いきや、将来的に建物が建つ可能性があるからです。今は空いている土地があるので風通しも日当たりが良かったとしても、将来的に建物が建ってしまったら一気に住みにくい平屋になる可能性があるでしょう。
○土地が狭いと十分な広さや部屋が確保できない可能性がある
広い土地であればのびのびとした広い空間や広い部屋を確保することができますが、土地が狭いとその分空間も狭くなります。家族全員に専用の部屋を与えたいけど、土地が狭いから共用の部屋にするしかなかったり、その他の部屋も十分な広さを確保できなかったりする可能性があるでしょう。
広い平屋以上にどんな平屋にするのか工夫しないと、土地が狭いことによって不便な生活を強いられるかもしれません。
【まとめ】
注文住宅の平屋を建てるときの費用相場は、2階建ての建物を建てるよりも高くなりやすいので注意が必要です。
また、建物や屋根の形、廊下の数、設備のグレードによっても左右されることから、十分な話し合いが欠かせません。
土地代も含めて、どのくらいの予算があるのか把握したうえで平屋を建てる計画を進めていきましょう。